被害者として問題視している西武信用金庫の不正内容

2022年10月17日

2019年5月24日に金融庁から発令された西武信用金庫への業務改善命令。

その内容は固定ページのほうに記載してありますが、その中でも私が直接被害を被ったのが以下の内容に関する部分です。

投資目的の賃貸用不動産向け融資について、融資期間に法定耐用年数を超える経済的耐用年数を適用する場合には適切な見積りが不可欠である中、経済的耐用年数等を証する書面を作成する外部専門家に対し、金庫職員が耐用年数や修繕費用等を指示・示唆するなどの不適切な行為が多数認められる

法定耐用年数と経済的耐用年数

法定耐用年数

物件がもつ・もたないとは別に、単純に税金を計算する上での減価償却用として定められている数字です。

木造:22年

鉄骨造:34年

鉄筋コンクリート造:47年

ただし、現実論として銀行から融資を受けた際の返済期間の基準として広く一般的に使われている数字です。

すなわち、築古物件では長期の返済期間が組めないということになります。

経済的耐用年数

対して経済的耐用年数とは、きちんとメンテナンスさえしていれば法定耐用年数以上でも経済活動ができる(賃貸物件であれば店子が入る)だろう、というイメージです。

最初から決まった数字があるわけではなく、物件ごとに現状やメンテナンス履歴、地域等様々なパラメータによって設定されます。

よって評価次第では築古物件でも長期の返済期間が設定できる可能性があります。

経済的耐用年数の適切な見積り

法定耐用年数を用いる時点では、事前に数値が決まっていることからそこに不正を挟む余地がありません。

対して経済的耐用年数を用いる場合は、不動産の専門家(不動産鑑定士等)を使って耐用年数を客観的に証明できるエビデンスを準備するよう、金融庁から指導されていました。

そこで西武信用金庫は、築古物件に対しても長期の返済期間による融資を出せるよう不動産鑑定士協会連合会等とタイアップして積極的な融資姿勢を示していました。

そこを悪用したのが今回の事件です。

不正の目的

反社との繋がりもそうですが不正をしてでも儲かればいい

融資拡大

それだけでしょう。

そこにバンカーとして、というよりも人としてのプライドを一切感じません

不正の手段

不動産鑑定士等と共謀し、異常値と言える全耐用年数の設定をしたことにより、そこから築年数を引いた残耐用年数も異常な長さとなり、結果として

返済期間長く設定できる

返済期間の重要性、これは不動産投資家であれば誰もが痛いほど理解しています。

仮に5000万円の融資を受けるとした際、返済期間が10年であれば年間500万円の返済をしなければなりません(説明のためのイメージとして簡易的な計算式にしています)。

しかし、返済期間が20年となれば年間返済額はその半額となります。

この差は買う・買わないの判断を下す際の重要なパラメータとなります。

さらに、耐用年数が伸びると収益還元法による評価額も自動的に上がることになります。

こんなことから、特に築古物件に対して、買主がこぞって西武に集まったということでしょう。

具体的な不正内容

木造の全耐用年数を83年、鉄骨造の全耐用年数を71年と設定した事例が手元にあります。

上記のとおり、木造の法定耐用年数は22年、そして鉄骨造は34年、それに対してこれらの数字は倍以上です。

それでも、定期的にメンテナンスされていたりして築年数ほどの劣化がない、すなわち築年数以上の価値があると判断されれば問題ないとも言えます。

しかし、上記2物件は逆にメンテナンス皆無、築年数以上の劣化があり、より価値は低いような物件でした。

不正の数

西武信用金庫自ら発表した資料によれば

経済的耐用年数等を証する書面を作成する外部専門家に対し、当金庫職員が耐用年数や修繕費用等を指示・示唆するなどの不適切な行為と思われる件数

  • 現存する18か月間のメールでのやりとりからは258物件あると確認しています
  • この期間内の同書面の数との比較では約1割に相当します

1件だろうが100件だろうが不正は不正ですが、、、最低でも258件、最高では2500件を超えるかも知れない、それほど大量かつ反復的に、この数からはもう日常的に不正が行われていたと思われても仕方ないでしょう。

不正≠犯罪として立件

これだけの不正の事実がありながら、業務改善命令が発令されてから1年以上経過した2020年10月時点でも

何ら事件化されていない

これが現実です。