ADRの限界と有効性

2022年11月5日

まずは今週、大きな決着に至りました。それは「和解」。

対西武信金とのADRにおいて一定の条件で和解に至りました。その内容は先の記事にも書いているとおり。

損して得取れ?

この記事にも書いているとおり、今回の和解内容、私にとっては

とてつもなく不満

  • こちらは和解のために100歩譲った
  • 西武信金は不正だったことを認めるに等しい証拠を出してきた
  • にも関わらずこちらの譲歩案の一部を拒否してきた

これは到底納得できるものではありません。しかしながら、この和解を拒否するということはADRは不調となる、ということは、、、

共同担保である自宅も含めて差押えの上、競売手続きに進んでしまう可能性が高い

ということを意味しています。これはワーストケース、これに進んでしまうと今まで時間をかけて交渉~ADRとつなげてきた意味がなくなってしまいます。

ひとつの案として「全てを拒否してADRは不調とする。代わりに提訴して徹底的に戦い真実を明らかにする」という戦法もあります。ただ、それはあまりにもリスキーです。その理由は

真実が明らかになることと損害賠償が認められる

過去の判例においても、不正が明らかになったにも関わらず損害賠償は事実上棄却、ということは普通にあります。となると、ワーストケースを避けるためには不本意ながらも一旦は利益確定、着地して時間稼ぎをするという選択肢のほうがベターと判断しました。

ADR(調停)はあくまでも話し合い、斡旋

そもそもこのADRにおける私の申立の趣旨は

  • 西武信金自らが不正を認めている258件、この中に私の物件に関与した不動産鑑定士が入っていないことを証明せよ
  • 私の物件の融資に際しても、業務改善命令に記載のとおり「形式的な審査にとどまり、不適切な信用リスク管理態勢によって」不正に過剰な融資を行ったことは明らかでありその損害賠償請求

この申立に対して西武信金からの回答は当初から拒否、空想の世界、脳内お花畑の虚偽報告に終始していました。その虚偽に対してひとつひとつ論破していった結果として最終的に

不正を認めたに等しい証拠の提出

に至り和解に進みました。

にも関わらず、私からの申立の趣旨である上記2点には最後まで一切触れないまま、私の妥協案に対してさらに一部を拒否した上での着地に至りました。

不正がほぼ明らかになったにも関わらずそこの追求は行われないまま一定のラインで決着、、、これがADRなのであるということを改めて確認させられました。裁判とは異なり「論点を明確にして白黒はっきりさせる」ということを

一切やらない

これがADRの良いところであると同時に限界でもあります。

不法行為の白黒をはっきりさせるのではなく、そこはぼやかしたまま、斡旋人の仲介によりお互いの意見を尊重しつつ何らかの着地点を見出し決着する、そんな制度だと感じます。

法律の観点からの0/1の判断を下すのではなく「話し合い、斡旋」それがADRなのです。

諸刃の剣

今回の場合、私の今の持ち札のまま裁判で争えば「100:0で負ける一択」というのが多くの弁護士の見解でした。よって、実際に裁判をしようにも受けてくれる弁護士が見つからなかったと思います。それをADRにすることにより弁護士も見つかり、今回の結果までたどり着きました。これとて、弁護士からは「最悪の場合は0」と言われてのスタートでした。

「裁判だと勝てない」そんな事例でもそれなりの成果を得られる可能性がある、これがADRの最大のメリットですが、同時に上記のとおり「白黒はっきりできない・しない」これが悶々とすることも事実です。

自己責任からは逃れられない

私自身、日々、SNSを通じて様々(自称)被害者の声を目にしています。ただ、不平不満を言うだけで具体的なアクションまでは至っていない方も多く見受けられますが、それはとても危険です。じっとしていても何も解決しないどころか自分のクビを締めているだけ、その先は最悪解しかありません。

また、今の状況のまま、裁判で戦ってもまず勝てる人はほとんどいないと思います。その理由はこの場で何度も言っているように「自己責任」からは逃げられないからです。

騙された!と主張することは自由ですが、残念ながら騙されなかった方のほうが圧倒的に多いはず。なぜ騙されなかったのか?それは少なからず自分で調べ、事実確認やリスク判断をした結果だと思われます。

不動産の価値(土地、建物)やレントロールは、ちょっと調べれば誰でも入手可能な情報です。家賃相場5万円のエリアで7万円で利回り計算している、路線価10万円の土地を30万円で担保価値を計算している、サブリースなので安心した、、、残念ながらそれを受け入れ契約したのはあなたです。

相手の言ったことを鵜呑みにして契約した結果、仮に儲かっていたら不正をアピールしなかったのでは?損したから「不正だっ!」と騒いでいるのではないですか?損得は表裏一体、判断したのはあなたです

少なくても司法の場ではそう見られてしまいます。

解決手段のひとつしてADRは有効

もちろん、そこに不法行為があればそれを追求することは可能です。ただ、その不法行為をしたのは金融機関ではなく業者では?それを金融機関に追求すべく争っても勝てるわけがないのです。一義的には戦うべき相手は業者です。

かぼちゃの馬車事件における「徳政令」はあくまでもイレギュラー。その他の不正スキームでも同じような判断が下される可能性は相当低いでしょう。そんな可能性の低い、リスキーな部分に期待するよりは、まずは勝てる可能性のある土俵でアクションを起こすことを優先すべきと考えます。

法律論以外の解決策を探ることができるADRは、現在不正融資の被害により困っている方々にとって有効な手段のひとつだと感じています。

西武信金を相手取りADRを活用した戦いはこれにて一旦閉幕、第1章は終わりました。内容的には大きな不満が残ったままですが、最悪の事態だけは避けることができました。

そして既に第2章がはじまっています。第2章は「不法行為を行った不動産鑑定士に対して損害賠償を求めて提訴」です。こちらは裁判ですのでADRのようなぼやっとした結果にはならないはずです。この裁判の進展により新たな不正の事実が出てくることを期待しています。

また、約半年、何ら進展がありませんが、国に対しての情報公開請求も審査されているはずです。

これらの結果によっては第3章「西武信金と最後の戦い」も幕開けとなると考えています。