西武信用金庫が不適切な指示・示唆を法廷で証言

先日、不動産鑑定士を被告とした損害賠償請求事件に関し最後の口頭弁論が行われましたが、その1回前に行われたのが証人尋問。

原告の私は、この尋問においてあえて私の対立軸ですらある不正の首謀者(と思われる)西武信用金庫の内部統括副支店長を証人申請していました。

この証人を出廷させるべく弁護士から何度も事前のコンタクトを試みていたものの一切無視されていたため、仕方なく裁判所からの呼び出しという形にしました。事前の調整ができなかったため最悪欠席まで覚悟していたものの、実際には期日に弁護士を引き連れてちゃんと出頭してきました。

内部統括副支店長制度

そもそもその内部統括副支店長制度は先の業務改善命令発令以降に創設されたもの。2019年6月に発表した西武信用金庫の業務改善命計画には以下のように記載されています。

不正の再発を防ぐための監査役のようなものだと受け止めています。

ADRにおける西武信用金庫の主張

この不動産鑑定士相手の裁判の前に私は西武信用金庫とADRを行っていました。その結果は不本意ながら一定の条件での和解。不本意でも和解したのは、その時点では西武信用金庫が私の融資に際して不正を行ったことを立証できる具体的な証拠が全くなかったためでした。

和解しないとなると早々にデフォルト、その次に待っていることは私の全ての資産の差押え・競売、そして最悪は自己破産、というネガティブスパイラルに陥る可能性が高かったことから。この時点ではほぼ選択肢がなく不本意な条件でも和解するという着地しかなかったのです。

和解の内容は、デフォルトのリスクを最小化できる程度までのリスケ、完済した際には遅延損害金約1000万円を請求しないこと、そして連帯保証人の解除など。

ところで、このADRにおいて西武信用金庫は「不正はなかった」と主張していました。その内容は「答弁書」に明確に記載されています。

法定耐用年数を超える融資機関となる可能性があることから西武信用金庫は不動産鑑定意見書が必要と判断

・西武信用金庫は以前から付き合いのあった業者を私に紹介という体で不動産鑑定意見書の作成を依頼

西武信用金庫は不動産鑑定士から何らかの説明を受けた上で残耐用年数が35年あることを確認した

西武信用金庫は不動産鑑定士が作成した不動産鑑定意見書の内容を精査する必要はない、さらにそれを私に説明する義務はないと主張

西武信用金庫は不動産鑑定士に対して耐用年数や修繕費用等を指示・示唆するなどの不適切な行為を行っていないことは明らかであると主張

専門家が作成した不動産鑑定意見書を西武信用金庫が精査することはないと言い切る

西武信用金庫のこれらの主張に対して私からの認否や反論、さらにそれに対する西武信用金庫のカウンター、そんな形でADRが進み、最終的に和解に至っています。

証人尋問における西武信金の証言

今回の証人は先のADRにおいても毎回出席していました。すなわちADRにおいてどんな議論が行われていたかを承知している人です。

その証人の証言が、裁判所によって一字一句記録され文字起こしされました。それが「証人調書」です。

証人は、最初に宣誓を求められます。

その後、代理人弁護士から質問、対して証人の証言、という形で進められました。

まず、裁判の争点のひとつであった「不動産鑑定の依頼者は誰か?」に対しては「原告である」と証言されました。そもそも原告である私は当初からそう主張していましたし、請求書や不動産鑑定意見書の宛名が私であること、そして実際に私が直接費用を振り込んでいたことなどからも明らかでした。

しかし、被告は「契約相手は西武信金である」と主張していました。その証拠と称するもの、実際には全く証拠になっていない第三者宛の資料なども提出していましたが、この証言によって原告の主張が立証されました。

そして今回の証人尋問の肝の部分に入りました。

修繕をしたことを加味して、それは出してくれと依頼をしているのかと思います

ADRの際の主張とは真逆の証言をしたのです。

西武信用金庫は、不動産鑑定の依頼者である私の意向を一切無視、事前に私に何ら相談や報告をしないまま一方的に費用をかけた修繕後の不動産鑑定を被告に依頼していた

ということが明らかとなった瞬間でした。

この事実は、業務改善命令の際に金融庁(関東財務局)から指摘されていた

投資目的の賃貸用不動産向け融資について、融資期間に法定耐用年数を超える経済的耐用年数を適用する場合には適切な見積りが不可欠である中、経済的耐用年数等を証する書面を作成する外部専門家に対し、金庫職員が耐用年数や修繕費用等を指示・示唆するなどの不適切な行為が多数認められる

そのものであると言えると受け止めます。そして

西武信用金庫は不動産鑑定士から何らかの説明を受けていたにも関わらず、私に対しては費用をかけた修繕後の鑑定評価であったことのみならず何一つ説明しなかった

先の証人尋問のブログであえて伏せていたことがこの証言でした。証人尋問調書によって文字起こしされたものが私の手元に届くまで待っていたのです。

代理人弁護士からの質問のあとには被告からも質問、そして最後に裁判官からも質問があったのですが、それが一番芯を食ったきつい質問だったように感じました。

裁判官からの問いはほとんど「契約の当事者ではない第三者がなぜ勝手に前提条件をつけたりできるのか?そんな権限はどこにあるのか?」、対して証人からはしどろもどろの証言ばかりになってしまいました。

この証人尋問によっていくつかの事実が明らかになりましたが、西武信用金庫が不適切な指示・示唆をしていたとなると果たして不動産鑑定士はどこまで責任を負うのか?がちょっと不明確になったという印象も受けています。

そしてこの証人尋問の結果として裁判官の心証が確定し、先日の和解案へと至っています。