不正融資の被害をなくすための提言

収益用不動産に対する不正融資に関しては日々様々な情報が入ってきます。しかし同時に、残念ながら現状の法制度及び行政の超後ろ向きな対応では被害者を100%救済するは相当難しい状況だとも感じています。
詐欺的な行為に関しては、騙したほうが悪いに決まっていますが、それと同じ程度で「騙されたほうも悪い」それが今の法制度の原点になっており、それなりにリーズナブルなものだと思っています。
素人だから、何も知らなかったから、言われたことを信用したから、、、自分の過失を棚に上げて過剰な救済を求めることには無理があると思います。
また、行政も基本的には受け身であり、よほどのことがない限り率先して動くことはありません。また、何かあったとしても火の粉を払うぐらいまでのことしかやってくれません。行政に積極対応を求めるためには、裁判での判決レベルのものがないと難しいと感じています。
そこで今回は、こんな被害を防ぐための方法論を妄想してみました。
問題点
「不正融資」ということ自体が問題なのは誰の目にも明らかです。ただ、今回に限ってはそこにはスルー、その結果として起きていることに着目して問題点を指摘します。
私の考える最大の問題は
物件を売却しても債務が残ってしまうこと
この1点だと思っています。
原因
まずは状況整理から。そもそも不正を伴う融資では以下のような関係性になっているはずです。
担保価値 < 実勢価格 < 不正前提の融資額 ≦ 売買価格
(西武信金の不正はさらに不正な残耐用年数による長期返済、これは金額以上に厄介です)
担保価値が低いこと、担保価値よりも実勢価格が高いこと、さらに実績価格と売買価格の剥離自体は全く問題ありません。そもそも担保価値より実勢価格のほうが低いということはまずありません。そして実勢価格よりも売買価格が低いことも滅多にありません。そんな物件があれば瞬殺で売れてしまいます。
問題は、担保価値と売買価格の大きなGAPを埋めるために様々なインチキ、不正行為を伴った上での融資であったことだと考えます。
そして、そんな状態であったにも関わらず売買が成立してしまった、その原因の半分は「金融機関や業者の不正」ですが、残り半分は
購入者の過失
普通の感覚を持っている人ならその条件では買わないのになぜ契約してしまったのか?相手の言うことを信用した、自分で何も調査しなかった、これらは明らかな重過失です。
本来やるべきことをやらずに
契約書に記名押印したのはあなたでしょ?
この責任からは逃れられません。
購入後の問題
極当たり前の検証をしている買主なら絶対に手を出さない物件x価格、それを不正が前提の過剰融資で購入したのですから買った時点で債務超過です。
それでもキャッシュフローが回っている間は何とかなります。地道に債務を返済し続けブレークイーブンなタイミングで売却、という手がベストだと思います。しかし、何らかの事情で早期に物件を手放さなければならなくなったときに大きな壁にぶち当たります。
そもそも過剰融資ですので債務を消せる金額で売却できる可能性は著しく低いです。物件が思った額で売れないのでは債務者は動くに動けず遅かれ早かれ
デフォルト
となります。
または損切りしてでも売るとしても債務が残ってしまいます。債務を消せない限り抵当権の抹消ができませんので売却と同時にその精算を金融機関から求められます。
デフォルト以降
キャッシュが回らなくなってから「自分は被害者だ!悪いのは不正をした金融機関(または業者)」と叫んだところで
- そもそも購入者の重過失がある
- その不法行為を証明できない(しずらい)
- その不正と損害の因果関係を立証できない(しずらい)
このような背景から司法に訴えても勝てる可能性はとても低いのです。
かぼちゃの馬車事件における決着は超イレギュラーの徳政令であり、他の不正融資スキームで同じような決着になることはない、と私は捉えています。
それでも何もしなければ最悪の事態になるだけです。指をくわえてXdayを待っていても何も解決しませんのでそれぞれの立場でやれることは全てやるべきと考えます。
デフォルト状態になってからの選択肢は「破産」「個人再生」が前提での「競売」「任意売却」しかありません(私はこの寸前まで行ったところで立ち止まり、できる限り抗うことにして現在に至っています)。それでも全ての資産がなくなったとしても命までは取られません。命がある限り再起の可能性はいくらでもあります。ぜひ未来に向かって次の一歩を踏み出して下さい。
不正融資をさせないための対策
やっと本題です。
ただ、ここで言う対策とは、既存の(自称)被害者の救済ということではなく将来において「収益用不動産に対する不正融資を撲滅する」という意味です。
上記のとおり、問題点は「担保価値がない不動産に過剰な融資」です。そしてその原因は「加害者の不正」及び「被害者の過失」であると考えています。
融資を増やすことが利益となる金融機関、そして一定数は必ずいる重過失を過失とも思わない素人。これらの問題点や原因を元から潰すためには
収益用不動産への融資はノンリコースのみとする
一番手っ取り早いのはこれだと考えています。
買主から見たメリット
買主が事業に失敗しても当該不動産を手放せば借金はチャラになりすぐに再起ができる。これが最大のメリットになります。実際、アメリカではノンリコースが一般的とも言われていました(が、最近の状況は知りません)。
そして何より、詐欺的行為等の不正がなくなるはずです。金融機関からすれば不動産が物納されれば融資がチャラにされてしまうわけですから、クソみたいな不動産に過剰な融資を実行できなくなります。
買主から見たデメリット
収益用不動産に対する融資がかなり絞られることになるでしょう。ほとんどの金融機関は担保価値からさらに掛け目を入れた額しか融資をしなくなるはずです。その結果は
融資がでない → 資本力のない買主は買えない → 不動産価格が下落 → 自己資金を持っている買主がどんどん買い漁る → 余計に素人は参戦しづらくなる、、、
こんなループになると思っています。要するに「素人には手を出せないマーケットになる」ということ。これはこれである意味健全とも思っています。
現時点では、単なる個人の妄想でしかなく現実味は皆無です。ただ、今後も金融機関や業者の不正融資の問題が続くようであれば立法府も動くかも?知れませんので、私個人としてそんな提言もしています。







