【裁判】第15回:証人尋問・当事者尋問

長かった口頭弁論のステージがやっと終わり、いよいよこの裁判も終盤戦に突入です。今回の期日はこの裁判の中でも最大イベントと思われる「証人尋問・当事者尋問」。
今回は珍しく傍聴者が数名いました。やっぱり証人尋問となると何らかの琴線に触れるのでしょうか?
この裁判の争点
- 被告に対して不動産鑑定意見書の作成を依頼したのは誰か?
- 被告の作成した不動産鑑定意見書は法律に則った正規の手法により正当に作成されたものであるか?
- この不動産鑑定意見書と原告の損害との因果関係
それぞれの主張
原告
被告は、契約上の不動産鑑定の依頼者である原告の意向を無視して法定耐用年数を大きく超える常識では考えられないレベルの残耐用年数を記載、及びその残耐用年数に比例し下駄を履いた過剰な評価額を記載した「不正・不法な不動産鑑定意見書」を作成した。そして、その不正・不法な不動産鑑定意見書に基づいて西武信金から原告へ不正な過剰融資が実行された。
不正・不法な不動産鑑定意見書を作成したことは被告の不法行為であることは明らか、これによる高値掴み分が原告の損害であるとして賠償を請求。
被告
不動産鑑定意見書は法に則り正当に作成されたものであり不正はない。残耐用年数や評価額は「大規模修繕後」の鑑定評価を作成するよう西武信金から依頼されたのでそれを行っただけ。そもそも不動産鑑定意見書の作成依頼者は西武信金であり原告から訴えられる関係にない。
証人
今回の期日に向けてまず原告である私が申請していた証人は西武信用金庫某支店の内部統括副支店長。
この内部統括副支店長というポストは、2019年5月24日に発令された業務改善命令を受けて西武信用金庫が新たに作ったものです。そして実際、私が以前に西武信用金庫を相手に申し立てたADRにおいても毎回この副支店長が出席していました。すなわち、私との争いの内容は全て把握している人であるため、証人として最適と考えてのものでした。
しかし、事前に代理人から何度となくコンタクトを試みたものの当副支店長は一切無視。仕方なく裁判所からの呼び出しとしました。「普通に考えれば欠席だろう」そう予想していた私は、このような不誠実な対応を金融庁にチクっていたのですが、それが功を奏したのか?予想に反してなんと「出廷」してきました(ADRの際の弁護士も同伴で)。
対して被告が申請していた証人は、本件とは全く無関係と思われる第三者であり被告とは見ず知らずの間柄。なのでこちらも事前調整することなく裁判所からの呼び出しを依頼していました。何の意味もないこの証人申請を認めた裁判官の判断自体も???でしたが、何とこの方も予想外に「出廷」。普通であれば機会がないであろう裁判の証人なので興味本位だったのかも知れませんね。ちなみに証人として出廷すると一定の手当や交通費がでます。
そして私、以上3名が証人として証言台に立ちました(実際には宣誓以外座ったまま)。
尋問
尋問は原告の証人、被告の証人、私、の順番で進められました。それぞれの証人は証言台に立つとまずは宣誓を求められました。ここで事実を証言する宣誓しているので虚偽の証言を行うと偽証罪に問われる恐れもあります。ちなみに尋問の際、証人はメモなどを使えずソラで答える必要があります。
尋問はまず呼んだ側から、そして反対尋問、最後に必要があれば裁判官から、という流れでした。
原告の証人
原告側代理人から本件の闇を突く厳しい質問、さらに裁判官からも詰問がありました。しかし証人は本質を突く質問に対しては「私は不動産融資に詳しくない、融資実行時の当事者ではないので詳しいことはわからない、当時の資料は確認した範囲ではそのような事実はなかったと思われる」とのらりくらり。ADRで西武信金が散々主張してきたことを今になってわからないとか確認できていないって何!?と思った点が多々あったのですが、私に発言権はないのでじっと我慢して聞いていました。
それでも、かなり重要と思われる証言をいくつか引き出せました。ひとつは
不動産鑑定の依頼者は原告であり西武信金は取り次いだだけ
これで被告が散々主張してきた「依頼者は西武信金」が崩れました。まあ、そもそも最初から崩れていたんですけどね。被告の作成した不動産鑑定意見書の宛先や作成報酬の請求書の宛先は全て原告、そして請求書に記載の銀行口座に直接振込したのも原告、これだけでも被告の主張は成立していなかったのですが、この証言によりより念押しした形になったと思われます。
さらにいくつかの重要な証言が出てきました。ただ、それの証言に関して現時点ではあえて「非公開」とさせていただきます。そもそも裁判は誰でもが傍聴できるように原則公開されています。裁判所内の撮影や録音はNGですがメモなどは何ら制限させていません。それでも現時点で機密扱いではない情報をあえて非公開とする理由は、この証言に受けて早急に色々と戦略を見直しする必要があるためです。
この証言によってこの裁判の着地点がぼんやり見えてきた、さらには西武信金との再戦の可能性が高くなったと受け止めているのですが、同時にそれだけセンシティブな内容だとも感じました。今後の展開を大きく変える可能性があると思われるため、取りあえず現時点では非公開とすることにしました。次のステップに進んだあとに公開する予定ですのでそれまでしばらくお待ち下さい。
被告の証人
上記のとおり、そもそもこの裁判とは全く無関係、何の意味もないと思われる証人。被告からのいくつかの(全く意味のない)質問をさらりと証言したのち、原告からは「必要ありません」、裁判官も「これで終わります」。数分であっけなく終了しました。
当事者である私
私の代理人からの質問は、以前に提出した陳述書に沿った形で聞かれそれを証言するというスタイルでした。このやり取りに関しては事前に弁護士と簡単なシミュレーションもしていたため何の問題もなく終了。その後に被告から質問を受けたのですが、これがまた相変わらず意味不明。「ちょっと何言っているのかわかりません」と質問の内容を再確認すると「じゃあいいです」(何だそれっ!じゃあ最初から聞くなって!)。最後に裁判官からいくつかの簡単な質問を受けて終了しました。
期日は続くよ、どこまでも?
今回のイベントでこの裁判はほぼ終了、あとは判決、または和解勧告を待つだけだと思っていたのですが、もうちょっと続くことになりました。その理由は上記のとおり、西武信金からの重要な証言があったから。
これを受けてまず原告側から「判決の前に今日の証言を受けて最終準備書面を提出したい」と申し出て了承されました。同時に被告からも最終準備書面が出されることに。ということで次回期日は2月末に設定されました。
和解の可能性
最後に裁判官から「和解の可能性はありますか?」との打診もありました。原告被告両者から「可能性あり」との回答はしたものの、、、その着地点にはかなりの乖離がありそうです。
そもそも原告の賠償請求額はざっくり2000万円でした。それを和解で大幅譲歩したところで100万円単位になることは間違いありません。対して被告のイメージは万円単位、多くても10万円単位、という感じ。この大きな溝はなかなか埋まらないと思われます。
さらに問題は今回の尋問を受けた裁判官の心証。裁判官は今回の証人尋問によって
黒幕は西武信金
と感じたように見受けられました。ただ、そうなると相対的に被告の責任範囲が小さく見積もられる可能性があります。私自身も本丸は西武信金だと思っていますが、だからと言って被告の責任範囲が小さいとは思っていません。西武信金も悪いけど被告も悪い、というスタンスです。その辺りを最終準備書面で主張しながら和解での着地点も探っていく、そんな攻防になっていくと思われます。








