【裁判】いよいよ西武信用金庫を問い質すステージへ突入(か?)

先の口頭弁論にて初めて被告の口から発せられた争点、それは
原告からの依頼により物件修繕後の不動産鑑定評価意見書を作成したのであって不正は一切ない
被告は今まで「原告の投資判断ミス」をメインに主張し続けていましたが、それは本件とは全く関係ない”事後のこと”であることをやっと認識したようです。
この証言を受けてこの裁判は次回から大きく進展すると思われます。
被告の立証責任
被告は今後この証言に対する立証を行う責任があります。
被告は今までに山ほどの準備書面や証拠「と称するもの」を提出してきましたが、この争点を立証するものはほとんどなく、正直「無駄」とすら感じられるものばかりでした。
そして何より、次回までに被告が代理人を立ててこない限り、被告の発言は裁判所に何も受け入れらないという最後通告もされています。被告はとにかく来月までに代理人を選任し、原告が西武信用金庫を通じて「修繕後」の不動産鑑定を依頼したという証拠を準備しなければなりません。
西武信用金庫からの依頼 = 原告からの依頼の立証
ただ、それは不可能です。だって原告はそんな依頼をしていないのですから。被告が準備できるものは「西武信用金庫から依頼されたもの」だけです。
被告も西武信用金庫も、そして金融庁もその依頼のメールを持っていることはほぼ明らかです。そしてその依頼こそが西武信用金庫が金融庁から業務改善命令を受けた不正そのものであり、被告の不法行為を立証する証拠なのです。
その証拠がどこから出てくるか?私の興味はそれだけです。
原告の立証責任
被告(及び西武信用金庫)の不正・不法行為は立証できると確信していますが、何度も言っているように
被告(及び西武信用金庫)の不正・不法行為 = 原告の損害
この立証責任は原告にあり、これが立証できなければ損害賠償に繋がらないのです。
この立証のためには「不正がなければ原告に損害が発生しなかった証明」及び
西武信用金庫が被告に対して不正な不動産鑑定を依頼したことの立証
これらが必要だからこそ、西武信用金庫が不動産鑑定士に対して不動産鑑定を依頼したメール履歴の開示を求めて活動しているのです。
以前に西武信用金庫に対して個人情報開示請求を行い、それと並行して金融庁に対してもずっと情報開示請求という揺さぶりをかけてきました。その結果、西武信用金庫からは何も出ない、そして金融庁からは一部の資料が出てきたものの全てが大きなのり弁、という結果でした。
これ以上、西武信用金庫をつついても何も出てこないでしょうから今は金融庁にロックオン、国会議員のリソースを有効利用させてもらいながらさらなる追求を行っています。
さらに、裁判が進むことにより今後被告からそれらの証拠が出てくればそれでもOKです。被告は自分の身を守るためにも遅かれ早かれ出さざるを得ないだろうと思っています。
ちなみに被告が既に証拠として提出しているメール履歴は、共同担保物件に対して西武信用金庫から「修繕後の鑑定」の指示を受けたものでした。そこには「以前と同じように」という記載があることからも不正融資の対象物件に関しても同じようなメールが存在していたと確信しています。実際、金融庁は「メール履歴として全487枚の資料が存在している」事実を認めています。
不正融資の被害者の立証責任
ちょっとズレますが話しの流れ上ここで一言。
騙すほうが悪いのは当然です。しかしだからと言って騙されたほうは「何も悪くない」とはなりません。被害者の立場としても本来やるべきことをやっていれば騙されなかったはずであり、実際、多くの人はその詐欺的行為に気付き、被害から逃れています。
さらに、騙されたからと言ってそれが損害に直接繋がっているとは言い切れないのです。被害者の立場とすれば「不正があったのだからその不正によって被害・損害を受けたのは当然だろう」と思うでしょう、私も以前はそう思っていました。しかし実際には「不正≠損害」が原則であり、被害者はその不正と損害の因果関係の立証責任を負っているのです。
これは弁護士であれば誰もが知っていることです。にも関らず、不動産投資に絡む不正によって被害を受けたとアピールしている弁護士を抱えている組織・団体や個人の発信には、これを伏せたままのものばかりのように感じています。
あえて戦略的にやっている部分もあるのでしょうが、それでは世論の支持を得ることは難しいと感じています。正直、真っ当な判断力を持っている世論からは「自己責任」論のほうが強いと思っています。
よく見かける「私はこんな被害に遭いました」のストーリーは
- フルローンで購入可能と言われた
- 見たことのない契約書や書類が出てきた
- 利回りXX%と言われていた(=高値掴み)
- サブリースでも利回りYY%確定と言われた
- 実際の入居率は低かった
- 購入後に修繕費用がかさんだ
- 住宅ローンが使えると言われた
これらに集約できると思っています。しかし、これらにはすぐに思いつくツッコミポイントがあるのです。
- フルローンが一般的ではないことはちょっと調べればすぐにわかること。フルローンを引き出すためには二重契約、及び通帳残高や源泉徴収票の偽造などが行われたことは明らかであり、その偽造の一部~全部に被害者も関与していたのではないか?
- フルローンの場合、十中八九、二重契約が行われているが、不正な契約書に記名・押印したのは誰なのか?本来、契約書には実印が使われ印鑑証明書も添付されている
- 利回りの基準となる家賃設定、これは周辺相場を調べれば5分とかからずにわかること。相場がわかればレントロールやサブリース設定の数字の適正値もわかったはずであり、すなわち物件価格の正当性も判断できたはずであるが、果たして調査を行っていたのか?
- 入居率は契約書を見れば一発でわかることである
- 修繕費用は構造や築年数、そして現地確認すればある程度予想できたはずである。現地を見たことがあるのか?
- 収益物件に住宅ローンが使えない(賃貸併用を除く)ことは調べればすぐにわかること。法律を知らなかったから違反・犯罪をしてもいいという道理はない
やるべきことをやらず、加害者の口車に簡単に乗ってしまった。その裏には何らかの下心(老後資金、税金対策、家族へ資産を残す等々)があったはずだと世間から見られています。
人生最大規模の借金をするにしてはあまりにも杜撰ではなかったのか?
自己責任を棚に上げた一方的な被害だけをアピールするのではなく、少なくても自身の非・過失を認めることが必要なのではないでしょうか?
損害賠償とは、不正が立証され、さらにその不正と損害に因果関係があることが認められてはじめて成立します。その上での損害賠償額は不正による被害額に対し被害者側の過失が相殺された額にしかなりません。その過失部分を認めない、隠している限りその先には進まないと思っています。
そしてもうひとつ。
騙したのは業者なのになぜ金融機関と争う姿勢を見せているのか?
業者と金融機関が共謀していたとしても、それを被害者側が立証しない限り金融機関の責任を追求することは不可能です。それなのになぜその険しい道「だけ」を選んでいるのか?その理由が私には理解不能です。かぼちゃの馬車事件の二匹目のドジョウはあり得ません。
業者には宅建業法による縛りがあるので不法行為があったのだとすればその立証は比較的容易なはずです。そこの追求をやらずして金融機関だけを相手に戦うことには無理があると感じます。
「金融機関はXXだったはずだ」は司法の場では通用しません。「はず」ではなく「だった。なぜなら証拠はこれ」と立証できないと逆に金融機関から「我々のほうこそ買主と業者の共謀による不正の被害者」とすら言われかねません。
金融機関の不正を立証できない限り、金融機関相手に争っても「勝てない=負ける」のです。
被害者組織・団体から今までに発信されている情報は「こんな例がありました」「情報を求めます」だけ。これをもって「一緒に戦いましょう」と言われても説得力がありません。それどころか、ネギを背負った鴨を誘い込んでいるようにさえ見えてしまいます。
一部には
- 被害情報を集めて蓄積
- その情報を餌にさらに会員(=会費)を集める
- 最後は破産や個人再生という組織・団体に頼らずとも誰もがたどり着けるゴールに導く
このような「簡単に、二重に報酬を得ることだけを目的に存在している」そんな怪しい組織・団体もあるように感じます。
被害者組織・団体を名乗るのであれば、破産・個人再生以外に「我々はこんな成果を出しました。だから一緒に戦いましょう」という実績をアピールし、一人でも多くの被害者を早急に救って欲しいと思っています。
もう1本の矢
閑話休題。
実は第3回口頭弁論のころから我々にも裁判所から指摘されていたことがありました。それは
西武信用金庫が不動産鑑定意見書を使って何をどう判断したのかを原告として確認しておく必要があるのではないか?
その指摘に対して今まで原告代理人からはやんわりと拒否してきました。その理由は「西武信用金庫が原告に有利な証言をするはずがない」からです。
原告と西武信用金庫とは一旦ADRにおいて和解をしていますが、まだ全てが決着したわけでなく逆にいまだにドロドロの争いをしています。まあ、もっぱら原告が仕掛けているだけですが。そんな状態で原告から西武信用金庫に対して問合せをしても、西武信用金庫が原告に有利な証言をすることは100%あり得ないでしょう。
そんなこともあり、この指摘に対してはずっとスルーしてきたのですが、第5回の口頭弁論においても改めて裁判官からその意思が示されたため、こちらとしてもやらざるを得ない状況です。
西武信用金庫の立場からすれば、とにかく最優先は自身の保身のはずです。保身優先の証言をした結果、原告を守ることはなくても被告を窮地に追い込む可能性はあると思っています。
そんな展開になるよう意識しながら質問文章を作成し
代理人から西武信用金庫に対して書面で問合せ → 西武信用金庫から回答 → 必要に応じて証人尋問
こんな流れになると思われます。
普通に考えれば西武信用金庫から被告に対して「不正な不動産鑑定の作成を依頼した」ことを認めるわけはないと思いますが、少なくても「修繕後の鑑定」を依頼したことは明らかです。よって「修繕後の鑑定を依頼した意図」これを西武信用金庫がどう正当化してくるのか?が肝だと思っています。
また、以下に書いていますが、そもそも西武信用金庫は「不動産鑑定書は必須ではなかった」と過去に何度も発言しており、その発言との整合性も求められることになるはずです。
西武信用金庫の過去の発言
私が過去に3人の弁護士を立てて西武信用金庫と争ってきた中で西武信用金庫は一切の不正を認めていません。
一人目の弁護士(2019年7月~2019年12月)
最悪破産も視野に入れた上で全ての債務の返済を止め、債権者との交渉をスタート。この時点では①不正を受けた物件、及び②先に現金で購入していた収益物件を売却することにより不正融資の債務を完済、③自宅は残すことを主眼に西武信用金庫との交渉を進めていた。
西武信用金庫からは
「①②物件の購入希望者がいれば融資を検討する」
とのことだったので①②物件の売却に努めた結果、①に対して複数の購入希望者が現れたことから西武信用金庫に融資の打診をしたものの、外国人であることを理由に検討すらされずに断られた。
対して②は、小ぶりということもあり現金での購入希望者が現れたため、西武信用金庫に共同担保の設定を解除してもらった上で売却。しかし、その売却代金のうち経費を除いた全額を西武信用金庫に回収されてしまったことから原告の資金繰りは何一つ改善されないどころか逆に収入源のひとつを絶たれてしまい余計に苦しい状況に陥ってしまった。
①が売却できないことには債務の完済が不可能であるものの売却の目処が立たないことから当該弁護士から破産を打診された。しかし、私としては破産せずとも再起できると確信し解任。
二人目の弁護士(2020年1月~2020年6月)
破産以外の決着を目指し選任。
方針としては①ではなく③を売却し、その売却益で不正融資の物件を修繕、そのキャッシュフローで債務の返済を再開することとして西武信用金庫に事業再生計画の協力を求める交渉をしてもらったが決裂。後日、その交渉内容を記録した資料を確認したところ、西武信用金庫から事実と全く異なる説明をされていたことが記載されていた。
- ①②③の不動産鑑定を強要したことはなく提案しただけ
- 不動産鑑定士は紹介しただけで指定したわけではない
- 不動産鑑定意見書はあくまでも参考情報程度
結局、何ら交渉が進展せず「破産しかない」ということになり当該弁護士も解任。
三人目の弁護士(2020年6月~2021年5月)
西武信用金庫とのADRによる決着を目指して選任。
2020年10月にADR申立を行い2020年11月に西武信用金庫から最初の答弁書が出されたものの、その内容は辻褄の合わない虚偽記載の羅列であった。
- ①の残耐用年数を調べるために不動産鑑定を入れる必要があると原告に説明したことになっているが当然ながら何も聞いていない
- 現在裁判で争っている被告を原告に紹介しただけ、という記載になっているが実際に原告は何もしておらず、全てのやり取りは西武信用金庫と被告が直接行っていた
- ①の処分見込み可能額5778万円を前提に②③の共同担保や連帯保証人設定を説明した上での融資額決定と記載されているが原告は何ひとつ説明も受けていない(そもそも原告が不動産鑑定意見書を受け取ったのは融資実行後であり事前に何も確認していない)
- 西武信用金庫から原告に対して①の購入を再検討するよう勧めたと記載されているがそんな事実はない
- 西武信用金庫が不動産鑑定士の作成した不動産鑑定意見書の内容を精査する必要はないと記載されているが、同じ答弁書の中に「法定耐用年数を超える融資期間の元となる残耐用年数を調査するために不動産鑑定が必要だった」「不動産鑑定意見書に残耐用年数35年と記載されたいたことを元に融資期間を検討し30年とした」と記載されており完全に論理破綻
このように明らかな虚偽記載が多数あることからそれらを論破しつつ話し合いを継続した結果、一定の条件で和解が成立。ただ、この和解においても西武信用金庫は一切の不正を認めないままでの決着となった。
そして今が4人目の弁護士です。
西武信用金庫は「そもそも不動産鑑定は必須ではなく原告に紹介しただけ」「不動産鑑定はあくまでも参考情報のひとつ」というスタンスであり、その証言を複数の弁護士が直接確認、そして書面で残っています。しかし、西武信用金庫の過去のこれらの主張は論理破綻しているところが多々あります。
この背景を踏まえた上で今回の問合せの肝は「西武信用金庫は被告に対してなぜ修繕後の不動産鑑定を依頼したのか?」
「していない」と言ってきてもメールが出てくればアウトなので「した」と言うしかないでしょう。しかしそれでは過去の答弁と辻褄が合わなくなるだけではありません。その行為は被告に対する不法行為の教唆であるだけでなく、業務改善命令で指摘されていた西武信用金庫の不正の指示・示唆そのものなのです。
ただ、今回はあくまでも損害賠償請求事件の証人として西武信用金庫に確認する作業であり被告は不動産鑑定士であることを忘れはいけません。それでも西武信用金庫の不正が明らかとなれば当然そっちも再び争うことになるのでそれも視野に入れてのことではあります。








